Cha-ble_Vol19
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小濵 U・S・M・Hの進むべき方向性をどう考えていますか。上田 U・S・M・Hはスーパーマーケットの連合体ですから、私はスーパーマーケットを極めることこそ目指す方向性だと思っています。この点に関して言えば、国内のどの企業も未だに成し得ていません。小濵 スーパーを極めるというのは非常に重要なキーワードですね。上田 マルエツの店舗は40坪の「マルエツ プチ」から1千500坪の「マルエツ」までバラツキがあります。特に都心型のマルエツ プチで我々が力を注いでいるのが品揃え。生鮮でもデリカでも、品揃え、鮮度管理、売り回し技術でコンビニに絶対負けない自信があります。カレールウを例にとれば、コンビニならプライベートブランドを2アイテム。しかしマルエツ プチなら最低15アイテム。補充コストや在庫リスクはありますが、お客さまに選べる楽しさをご提供できます。 一方、郊外型の1千500坪の店舗では食のアミューズメント性を考慮して楽しい買い物空間づくりに努めていますから、結果としてバラツキのある店舗になる。しかしバラツキを是正するのではなく、むしろ是認したうえで何ができるかを考えることが大事だと思っています。藤田 カスミの出店エリアにはコンビニからドラッグストア、ディスカウントストア、大規模ショッピングモールまであらゆる業態が存在します。その中で従来と同じやり方で差別化を図るには限界がある。 今カスミは店舗が中心になって地域特性に合った品揃えを目指すと同時に、個店ごとに工夫を凝らしたイベント・サービス・情報をご提供することで期待以上の満足をお客さまに感じてもらう店づくりに取り組んでいます。従来のような本部主導の商売から個店が付加価値を創り出し、本部がそれをサポートする仕組みへの転換を進めています。 それには主体となる店の従業員が仕事を心から楽しいと感じ、誇りを持てない限り実現できません。時間はかかりますが、とても大切な取り組みです。小濵 小売業界で50年働いてきて到達した結論は、大事なのは効率ではなく価値であるということ。従来のチェーン理論はいかにお客さまに効率よく、便利に買い物をしていただくかという視点で店づくりを行ってきましたが、これからはいかにお客さまに買い物を楽しんでいただけるかという視点が大事。それにはまず従業員自身が仕事を楽しみ、精神的満足感を得ることが大事。そうした点を重要視していくことが日本のスーパーマーケット業界の将来展望につながる。その先鞭をつけるのがU・S・M・Hです。小濵 スーパーマーケットを極めるには事業会社同士が互いの長所を学び合い、新しい価値を創造していく必要があります。上田 おっしゃる通りです。東京圏は人口の流出入が非常に大きなエリア。マルエツでは、1年間でお客さまの4割、山梨県の人口に匹敵する約100万人が入れ替わります。地域とのつながりという点では正直これまで希薄でした。 一方カスミは食育や社会貢献活動といった商売とは別の面でも地域との結びつきが強く、地域における存在意義を高めています。地域密着の固定客づくりに何が大切か、マルエツがカスミに学ぶべき点は多いと思っています。藤田 カスミの出店エリアでは、その地域に長くお住まいのお客さまが多いですから、いかにして「わが町のカスミ」と思っていただけるかに力を注いでいるのは確かです。 しかしその一方で、変化する新しいお客さまニーズへの対応という点では弱スーパーマーケットを極めるまだ誰も成し得ていない難題に挑戦する(上田)大事なのは効率より価値創造展望を開くのはお客さまも従業員も楽しめる店(小濵)学びと気づき株式会社マルエツ代表取締役社長。1953年生まれ。1976年慶応義塾大学卒業。株式会社マルエツ入社。教育人事本部長、常務執行役員、専務執行役員などを経て、2013年4月より代表取締役社長。東京都出身。U.S.M.H株式会社代表取締役社長上田 真(うえだ・まこと)スーパーマーケットを極める

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