Cha-ble_Vol20
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13レトロモダンな絹のまち。桐生 群馬県桐生市にはJRや東武鉄道、さらには、わたらせ渓谷鉄道や上毛電気鉄道といったローカル線も乗り入れている。前橋と桐生を結ぶ上毛電鉄は赤城山麓をのんびり走る。終点の西桐生駅はレトロモダン。昭和初期の建築で、当時の趣を今に伝える文化財の駅舎だ。 駅を出て街を歩くと、蔵造りの商家や明治・大正時代の洋館が、そこかしこに現れる。往時の面影をたどりながら街歩きを楽しめるのも桐生の魅力だ。 懐かしい街並みの中で目を引くのは、屋根がノコギリの歯のような形をした織物工場。かつて桐生は「西の西陣、東の桐生」と言われ、高級絹織物の産地として知られていた。昔から養蚕が盛んだったこと、桐生川の水が染色に適していたことが織物業が発展した理由らしい。 レンガ造りの洋館は、シルクで儲けた企業家たちの社交場だろうか。繊維産業の繁栄を象徴する産業遺産が、日本の近代化を雄弁に語りかけてくる。建物をのぞくと今でも機織りの音が聞こえてきそうだ。 桐生がおもしろいのは、こうした伝統建築を文化財として保存しておくだけでなく、それらがベーカリー、美容室、酒屋さんだったりと、今も営みや暮らしの場に使われているところだ。腹ごしらえに地元で人気のB級グルメ「ソースかつ丼」をいただくことに。サクサクのかつに染み込んだソースの味は、美味しさと懐かしさが同居する幸せごはん。 そんな桐生市にも、カスミ桐生相生店がある。絵=古山 浩一

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