Cha-ble_Vol21
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小濵 4月1日から※女性活躍推進法が施行になりましたが、カスミは2006年からこのテーマに取り組んでいます。麓 10年前から続けていらっしゃるのですね。小濵 ありがとうございます。初めて女性店長を登用したのが2006年。その翌年には「※女性かがやき委員会」という組織をつくって女性管理職の登用を図ろうとしました。私自身が委員長を買って出て、「会社を変えていくのに女性の力を貸してほしい」とメンバーに伝えました。麓 トップのコミットメントが最も重要です。小濵 しかし、そう簡単にはいきませんでした。二人目、三人目の女性店長を登用しようと委員会メンバーに立候補を促しても手が挙がらない。推薦制にして、半ば強引に女性店長をつくった経緯があります。とにかく、まずは実体を作らないと男性社会の歴史は変えられないと考えましてね。麓 確かにそうですね。小濵 それで全店舗の店長と本部の管理職の前で「これからは能力が同じだったら女性を登用する」と宣言しました。会社が本気だぞと伝えるために。それから10年、ゼロだった女性管理職が12名になりました。まだまだ少ないですがね…。麓 女性登用で大事なのは女性を“かたまり”で動かすこと。一人ずつだと孤立して個性を発揮できませんから。それを「女性かがやき委員会」という形で10年前に実践していらっしゃいます。 何より素晴らしいのは10年間継続していること。日産自動車のカルロス・ゴーンさんも「ダイバーシティは競争力の源泉である」と訴えて、同じように継続していらっしゃいます。小濵 食品スーパーはパートさんまで入れると7割以上が女性なのですが、その割に女性管理職が少ない。課題も多いです。麓 日本で働く女性の約6割が最初の妊娠・出産後に職場を去るという現実があります。これは非常にもったいない。保育園が不足しているといった物理的な理由もありますが、大きいのは心の問題。結婚・家庭・育児と比べ、仕事に魅力を感じられるかどうか。それがないと辞めてしまいます。 その意味では、20代のうちにどのようなキャリアを積めるか、仕事での良い経験をいかに管理職が授けられるかが重要だと思っています。小濵 「働きがい」を感じられる環境づくりですね。麓 女性活躍には「期待」「機会」「鍛える」という3つの「K」が重要と言われています。男性と同等の「期待」、そしてタフでチャレンジングな仕事の「機会」を与え「鍛える」。甘い仕事にやりがいは感じられませんものね。 私の場合は26歳で『日経ウーマン』という新しい女性誌の創刊にかかわり、経験したことのない高揚感と達成感を感じ、育児をしながら今日まで働き続けてきました。やはり大切なのは若いときに感じた仕事へのミッションです。小濵 自分は何のために働くのかということ。麓 ええ。そして、なぜこの仕事が存在し、社会に対しどのように貢献しているか。若いうちに仕事のミッションを感じた女性は会社も仕事も好きになって頑張ります。麓 育休や時短勤務といった、仕事と育児の両立支援や就業継続に注目しがちですが、実は何を経験させ、どう成長させるかというキャリア開発こそ女性活躍には重要なのです。小濵 女性のキャリア開発を進める上で我々が見直すべき点は何ですか?麓 男性も女性も意識を変える必要があると思います。とくに男性は「女性にこんな仕事をさせてはかわいそう」「こんなことできないだろう」「すぐ辞めるから育てても無駄」などの固定観念が強く、上司が部下に与える仕事を無意識のうちに「男性用」「女性用」と分けてしまいがちです。小濵 その傾向は我々の業界も強いですね。麓 女性にも、家事育児は自分一人でやらなければいけないという思い込みがあります。会社から期待されて活躍活躍の源泉はミッションの実感女性管理職育成は恋愛と同じ!?※女性活躍推進法女性の採用や昇進への機会拡大のための職場環境を整備することを目的とした法律。従業員301人以上の企業は女性活躍に関する行動計画を策定・公表が義務化される。2016年4月1日施行。※女性かがやき委員会女性活躍と管理職登用の推進を目的に2007年に発足。社長を委員長に女性管理職、管理職候補、人事部長などで構成される委員会。カスミで活躍する女性たち広報担当マネジャー店長菓子担当バイヤー食育担当(管理栄養士)

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