Cha-ble_Vol21
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しようと思っても、家事育児は自分一人でしようと思ったら、スーパーウーマンしか活躍できないですよね。 大切なのは旦那さんを巻き込むこと。「私は会社で重要な仕事を任されているから週に何回かは家事育児も手伝って」と話して理解を得ることが必要です。 中には女性社員を集めて会社からの期待を伝え、それを家庭で旦那さんに話すよう勧めている企業もあります。そういう仕掛けを会社側がいかに上手につくれるかが重要だと思っています。小濵 いまカスミは20代30代で産休・育休を取得した女性のほとんどが復職します。両立支援や就業継続によって「働きやすさ」の環境は整いつつあると思いますが、これからは女性がもっとチャレンジしたくなるような「働きがいのある」社風をつくっていくことが必要だと感じました。 管理職を増やすこと自体が目的とは思いませんが、我々としては女性の背中をさらに押し続けていくべきでしょうね(笑)。麓 女性は謙虚ですからね、一度くらいの打診で「できません」と断られても、諦めないでいただきたいですね。押して押して押し続ける。恋愛と一緒です(笑)。 初めはできないと思っていても、背中を押してもらえると、会社がそんなに期待してくれるなら挑戦してみようかなと思うものです。『日経ウーマン』の調査でも、女性管理職の7割が仕事に満足しているという結果が出ています。管理職としてヒト・モノ・カネを動かす、そして人を育てる醍醐味に満足している結果だと思います。小濵 食品スーパーのお客さまは大部分が女性です。男性が考えたマニュアル対応だけでは通用しません。麓 ニーズはますます多様化していますから、細やかな女性の視点を活かすお店づくりは重要になってきますね。 女性が活躍する会社はなぜ強いか、理由は二つあります。一つはモチベーションです。女性が活躍する会社は、女性を甘やかしたりお飾りにしている会社ではなくて、女性をきちんと育成し実力のある方を登用している会社です。そこには性差や年齢に関係なく、実績成果をきちんと評価する仕組みがあり、従業員のモチベーションが上がるのです。 もう一つはイノベーション。革新とは同質の集合体ではなく、多様な力を生かすところに起こります。それがまさに業績向上につながっていると思います。小濵 カスミは長年続いてきた本部主導の店舗運営を改め、地域ごとに特徴のある個店運営を目指しています。そこでカギを握るのが現場の女性の皆さん。彼女たちの多様な知恵やアイデアを取り入れ、お客さまや従業員が喜ぶことなら法律や企業理念に反しない限り店づくりに生かしていく。その様子が社内フェイスブックに投稿され、組織を活性化していく。これが我々の進めるソーシャルシフトの経営の一部です。麓 まさにダイバーシティ(多様性)の実践ですね。性差、年齢、国籍に関係なく、個人の力や意見を十分に生かす組織づくりはイノベーションの創出につながると思います。小濵 これからは「地域」というキーワードが食品スーパーにとって非常に重要になってくると思っています。単に2015年2018年2020年管理職者女性比率目標(%)4.98.810.8女性管理職者目標人数(名)1223322006年初の女性店長誕生2007年女性かがやき委員会を設置子育てにやさしい企業として「くるみん」認定 (茨城県内第1号)2008年管理職育成候補者へのメンター制度の導入2011年茨城県子育て応援企業表彰・優秀賞茨城県ハーモニー功労賞2012年「くるみん」認定(2回目)2013年初の女性マネジャー2名登用2014年女性キャリアアップ研修を導入次長職育成研修に女性チーフを必ず対象者として教育を実施2015年人材育成部鮮魚トレーニングスクール担当に女性登用 女性の配属が少なかった部門に10名を配属精肉加工センターに女性2名を配属女性キャリアアップ研修の対象者を準社員まで拡大個人の力を生かせる組織にモチベーションとイノベーションは生まれます(麓)日経BP社執行役員。1962年秋田県生まれ。筑波大学卒業。1984年に日経BP社入社。1988年「日経ウーマン」創刊に携わる。2006年より「日経ウーマン」編集長。2016年より現職。内閣府、経団連21世紀政策研究所等の委員を歴任。一男一女の母でもある。筑波大学非常勤講師。新刊に『女性活躍の教科書』。麓 幸子さん(ふもと・さちこ)女性が元気な会社が強い理由●女性活躍に関するカスミの取り組み●女性管理職育成計画

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