Cha-ble_Vol24
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スマホが起こしたパラダイムシフト小濵 いまスマホの普及率は7割くらいでしょうかね。藤元 もう少し増えているかも知れません。格安スマホが出てきましたから。小濵 あの便利さを持ち歩けるインパクトは大きいですね。藤元 いつでも、どこでも、だれとでも、スマホがあれば世界中の人とコミュニケーションできる。商品の注文もできますからね。 たとえば、ネットならいつでも音楽が買えます。CDが売れなくなる一方でライブがとても人気です。その場所へ行かないと得られない「体験」に対する価値は今後あらゆるシーンで高まると思います。小濵 モノを買うだけならネットで十分。ブランド食品や特産品は全国から取り寄せられるし、コンビニやドラッグストアでも食品を売っています。 これからの食品スーパーは、お客さまにとって魅力ある体験型の店舗をいかにつくれるかが鍵になると思っています。藤元 そこでしか体験できないことに価値を見出すことは、言い換えると、いつでもどこでも手に入るモノには最低限のコストしか払わないということでしょう。いま企業に問われているのは、従来の「いつでも、どこでも、だれとでも」という価値を「今だけ、ここだけ、あなただけ」という価値にシフトできるかどうか。これはスマホによって起きた大きなパラダイムシフトじゃないかと思っています。体験型食品スーパーへの進化藤元 体験価値という言葉がありますが、究極の体験価値は遊びだと思うんです。女性の中には買い物そのものが遊びという人もいますが、それは買うという行為より遊ぶという行為の方がワクワクするからです。その意味でこれからの小売りは、いかに遊び場づくりをするかという感覚が大事になってくる。小濵 アメリカの高級スーパー「ホールフーズ」は、早い段階からそういう取り組みをしていました。お店は買い物をするだけでなく、その場で調理してもらって、食べて、おいしかったら食材を買って帰って家庭でつくる。小売りと外食を組み合わせたような業態を開発してきました。 それはネットにはないリアルの魅力です。アマゾンがホールフーズを買収した理由もそういうところにあるのではないかと思っています。 それに対し、日本のスーパーはカスミも含め遅れています。物販に終始しているから違いが見えにくく、お客さまは自宅や職場から近い店舗を選ぶ。お客さまに魅力を伝えたいなら、遠くてもわざわざ行きたくなるような体験型スーパーをつくる必要があります。スーパーは物販だけでなく、もっと料理をつくる楽しさを体験してもらう場にならなければいけない。藤元 アメリカでポップアップシェフという、店舗を構えずいろいろな場所で自慢ショッピングをもっと楽しく、お得に。進むネットとリアルの融合7
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