Cha-ble_Vol26
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加できる地域づくりに役立ちたいと考えています。藤田 私はスポーツをしながら働いていますが、幸いなことに仕事面でも同期の社員と同じハードルを会社から与えられ、社会人としての成長を実感しています。障がいの有無にかかわらず、その人に合った成長と豊かさを感じられる職場というのは、働いている人にとっても企業にとっても幸せなことではないかと思います。障がい者スポーツと地域・企業の関係小濵 お二人は競技のほか、体験会や講演会など地域の子どもたちとの交流の「場」づくりにも積極的に取り組まれていますよね。子どもたちに何を伝えたいですか?山口 一番はコミュニケーションの大切さです。目隠しをすると初めはみんな怖がって何もできないと思うのですが、コミュニケーションをとることで自分にできることが一つずつ増えていくことを実感します。 私自身、目が見えなくなって、何一つ自分でできなかったのに、身支度をし、食事をとり、電車で大学にも行けるようになりました。 目隠しをした状態でもボールをパスしたり受け取ったりできるのは、名前を呼んだらちゃんと返事をするというコミュニケーションの基本を疎かにしないから。スモールステップの成功体験を一つずつ増やしていくことの大切さを、ゴールボールを通して子どもたちに伝えたいと思っています。藤田 私は自分が自転車競技で結果を残すことで、地域の方々や職場の仲間たちに喜んでもらえたらいいなと思ってスポーツに取り組んできました。 スポーツの良さは楽しむことにあると思います。目標に向かって楽しむ、見て楽しむ、参加して楽しむ…。どんな形であれ、地域の方々や職場の仲間が障がい者スポーツと楽しみながら関わりを持つことで地域社会がより豊かになればいいなと…。そのためにどう役立っていけるか、これからも自分自身の課題として持ち続けていこうと思います。小濵 企業は障がい者を雇用するだけでなく、障がい者と健常者が一緒に楽しみながら共生していく、そのための「場」づくりが企業のこれからの役割になるでしょう。企業価値を高める上でも、ますますコミュニケーションが大切になる時代ですね。今日はありがとうございました。(2018年10月24日、カスミつくばセンターにて収録)写真:Mariko Mibu障がいの有無にかかわらず成長を実感できる職場との出会いが幸せにつながる(藤田)これからは雇用だけでなく障がい者と健常者が楽しみながら共生する「場」づくりが企業の役割(小濵)1985年北海道生まれ。東海大トライアスロン部だった19歳の時、交通事故で両足の膝下を失い義足に。2007年から自転車競技をはじめ、北京、ロンドン、リオデジャネイロのパラリンピック3大会連続でメダル獲得。日本初の義足のパラリンピックメダリスト。現在は日立建機株式会社(茨城県土浦市)勤務。エンジニアとしてフルタイム勤務を続けながら競技に取り組む。「かすみがうらマラソン」では、過去5度、車いすフルマラソンの部でサポートライダーを務めた。藤田 征樹さん(ふじた ・ まさき)株式会社カスミ取締役会長2000年株式会社カスミ入社。2002年から2010年まで代表取締役社長、2010年に代表取締役会長。2017年より現職。2018年5月日本チェーンストア協会会長就任。小濵 裕正(こはま ・ ひろまさ)

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