Cha-ble Vol28
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東京ガス株式会社 東京2020オリンピック・パラリンピック推進部コミュニケーション推進グループ課長。共生社会に向けた取り組みのひとつとして片手でクッキングを推進。原口 聖名子さん(はらぐち ・ みなこ)小濵 カスミは昨年の秋、筑波大学の中に店舗を出しました。国立大学のキャンパス内に立地する民間企業のスーパーマーケットは全国的にも珍しいのですが、きっかけになったのは「学生の脳を活性化するために学内にスーパーをつくれないか」という学長の投げかけでした。 料理をつくるということは、単に調理するだけでなく、素材を買い、メニューを考え、準備や片づけをするなど、自分の体験を通じ身体と脳を活性化させる総合訓練。コンビニで出来合いばかり買って食べている現代の学生を学長は憂いていたのです。 次代を担う若者たちへの期待に、地元企業として応えないわけにはいきません。体験することが気づきにつながる小濵 「片手でクッキング」はレシピ本の発行だけでなく、体験料理教室など活動の幅を広げているようですね。原口 親子料理教室や自治体イベントなどの展示を通じ、実際に皆さんに参加・体験していただいています。 小濵 体験された方からの反響はどうですか?原口 たとえば、片手でペットボトルを開ける体験では、「滑り止めを置いておくと開けやすい」とか、さらに便利な器具を使うと、「もっと開けやすいね」など、体験を通してちょっとした気づきがあるようです。小濵 確かにペットボトルのふたは、健常者でも握力の弱い高齢者や子どもには固くて開けにくい。原口 ええ。こういうところが困るんだということを、体験を通じて知ることが大事だと思います。 中には「片手では大変ということがわかった」「そういう人がいたら助けてあげたい」といったコメントを体験後にくれたお子さんもいました。気づきの場として、この活動が共生社会について考えるきっかけになればと考えています。小濵 大切なのは、まず自分で体験してみること。そうすれば相手がどうしてほしいのかも想像できますからね。共生社会の実現へ企業の役割小濵 今年度、カスミは経営課題の一つとして、「共生社会の実現」というテーマに取り組んでいます。人間愛と地域愛をもって互いが支え合い、障がいの有無や年齢にかかわりなく、誰もが生き生きと暮らしていける地域づくりに貢献したいのです。 東京ガスさんも「共生社会」をテーマに幅広い活動をされていますね。障がい者スポーツは頑張る人の格好いいスポーツということを伝え続けていきたい(原口)❶ 丸い果物はお椀とぬれ布巾で固定。上から皮をむき、半分までむいたら上下を逆に。❷ フライパンや鍋の取っ手は引っかからないように横にする❸ 焼きたてで熱々のチキンはキッチンばさみを使えば大丈夫❹ 野菜を切るときは固定したり、平らな面を下に置き安定させる❷❸切る炒める剥く片手で❹❶8

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