Cha-ble_Vol29
8/16

8の多くの人々は労働と消費という形で企業活動と深く関わっています。医療や社会保険制度も重要ですが、すべての人に健康と福祉を行き渡らせるには、暮らしと身近な企業活動が健康づくりに適していることが重要です。小濵 私たちカスミも今年度から「SDGs推進」という専門部署をつくり、企業活動の一環として明確に位置づけました。 従来から食育や環境活動など社会貢献には取り組んでいますが、企業単体での活動には限界があります。今、社会課題の解決に必要なのは一企業の社会貢献ではなく、SDGsの17目標の中から分野を決め社業としての活動を加速させながら、地域と連携して人々の認識や行動を変えていこうとする動きです。森 的を絞るということですか?小濵 そうですね。カスミで言えば、その一つがSDGsゴール3の「すべての人に健康と福祉を」の達成です。ブランド向上で持続的成長森 企業がSDGsに取り組む上で重要なことは何ですか?小濵 何より継続。続けなければ目標は達成できませんからね。それにはテーマを絞って目標を明確にすることが大事です。森 カスミさんは地域の子どもたちへの食育を継続しているんですよね。小濵 約20年になりますね。森 すごい。小濵 企業活動というのは1年先、あるいは数年先の目標を掲げ、その目標がどれくらい達成できたかを評価し、また次の行動につなげていきます。一過性で終わらせず、仕組みにすることが継続の秘訣です。森 企業の中にある経営資源や組織という土台(プラットフォーム)が推進力になるのでしょうね。 企業がSDGsに取り組むとき、モチベーションになるのは何ですか? たとえば、カスミさんが食育を続けてきた目的は?小濵 企業ブランドの価値を高めていくためです。カスミなら必ずやってくれると地域のお客さまから期待される企業になりたい。そのことによって従業員も誇りを持って働けるでしょう。目には見えないこうした資産こそ、これからの企業が持続的に成長していくための条件だと思っています。達成のカギは地域との連携森 論文の中で私が提案したかったのは、従業員のwell-being(ウェルビーイング)、消費者のウェルビーイング、無意識の健康に取り組むオレンジ企業です。ウェルビーイングとは単に肉体的、精神的な健康というだけでなく生き生きとして満足感のある様子です。 オレンジ企業になるための条件は3つあって、筑波大学医学群5年生。東京都出身。第5回住友理工学生小論文アワード最優秀賞受賞。医師を目指す傍ら、起業を目指し各種ビジネスコンテストや起業家育成プログラムに参加。森 陽愛子(もり・ひめこ)健康増進に取り組むオレンジ企業なら働きがい、技術革新、経済成長も実現できる(森)お客さまや従業員が参加して行う「カスミ共感創造の森」の植樹活動は間もなく10年目を迎えます買い物に不便な地域のお客さまに好評な「移動スーパー」は自治体と連携し茨城県内5市町で展開しています(この写真は両者の距離を十分にとった上で個別に撮影しています)年間18,000人以上の子どもたちが参加するカスミの食育活動は2003年から続けています

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る