Cha-ble Vol30
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13てくてく歩こう「つくば道」北条店蔵ストリート つくば市北条。筑波山のふもとにあるこの街を歩くと、間口の狭い和風建築と出会います。漆喰を塗り込めた土蔵造りの建物は、「店みせぐら蔵」と呼ばれる町家の一種。間口は4〜10メートルと狭いのに、奥行は50〜60メートル。「うなぎの寝床」のように細長いのが特徴です。 それにしても、なぜ、こんなに細長い造りになったのでしょうか? 北条はその昔、筑波山麓の商業の中心地でした。江戸時代に三代将軍・徳川家光が筑波山の中禅寺(現在の筑波山神社)再建の資材運搬路(後の「つくば道」)を整備したことから、参詣客相手に定期市が立つようになり、やがてそれが店蔵として軒を連ねたのが始まりとされています。昔は間口の広さで税金の額が決まったことから、奥へ奥へと細長い造りになったことも理由の一つと言われています。 江戸時代に醤油醸造業を営んでいた宮本家店蔵を見せていただきました。通りに面した蔵の1階が売り場、その奥は住まいになっていて、茶の間や座敷があります。店蔵と母屋の間は戸袋に収められた分厚い土戸で仕切られていました。昔の北条は火事が多く、万が一、火を出しても燃え広がらぬよう防火シャッターの役目を果たしていたのだそうです。 通りから一本路地を奥に入ると風情のある黒塀、そして裏堀と呼ばれる細い水路がありました。これは土浦で霞ケ浦に注ぐ桜川から引いた用水路。かつて皇室にも献上された良質米の筑波北条米の美田を潤す水路でした。 そんな北条の街中にあるカスミ筑波店。昭和48年9月のオープン以来、地元の皆さまにご利用いただき、今年で48年目を迎えました。北条(茨城県つくば市)絵=古山 浩一

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