Cha-ble Vol. 31 2020年6月
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13古都の歴史、祭り、昭和レトロ建築と出会える街 およそ1300年前。現在の茨城県が常ひたちのくに陸国と呼ばれていた奈良時代、石岡には今でいう県庁のような国府が置かれ、政治・経済の中心地として栄えていました。そのことを物語るように、今も市内各所には歴史を感じさせる多くの遺跡や建築物が残されています。 JR石岡駅から駅前通りを10分ほど歩くと旧水戸街道にぶつかります。さらに5分ほど歩くと、「看板建築」と呼ばれるレトロな建築物が見えてくる一角があります。 通りに面した木造2階建ての店舗兼住宅。建物の前面を垂直に立ちあげ、正面の外壁には銅板やタイルなどが貼られた造り。石岡では昭和4年に大火事があり、多くの建物が焼失しましたが、このあたりの看板建築はいずれもその後に建てられたもののようで復興の先駆けになったといいます。 この看板建築のある旧水戸街道と駅前通りを会場に、毎年秋になると開催されるのが石岡のおまつり。関東三大祭りに数えられ、大神輿や山車が幌獅子に伴われて市内を練り歩きます。街は石岡囃子と十数万の見物客で大にぎわい。祭り一色の三日間となります。 昭和36年、この石岡にカスミ1号店が誕生しました。当時の屋号はカスミではなく「霞ストアー」。それまで土浦で薬局を営んでいた故・神林照雄(カスミ創業者)がアメリカ生まれのスーパーマーケットに将来性を感じ、はじめて出したお店でした。それまでの魚屋さんや八百屋さんのような対面販売とは異なる新しいセルフサービス方式は、良い品を少しでも安く買いたいと望んでいたお客さまの心をとらえました。2号店は龍ケ崎、そして60年後の2021年には187店舗へ。 おかげさまで、今年カスミは創立60周年。ここ石岡は、カスミの夢が動き始めた街なのです。いしおか(茨城県石岡市)絵=古山 浩一

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