Cha-ble_Vol32
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山本 製造小売の強みはお客さまの声を生産現場にフィードバックし、即座に商品開発に生かせることです。例えば、「もっと大きなレタスがほしい」という要望になら即座に応えられる技術をすでに私たちの植物工場は持っていますし、野菜の栄養成分をコントロールすることで「健康につながる野菜」として展開して健康志向に応えることも将来的には実現できるでしょう。ブランドに込めたメッセージ山本 このレタスを初めて食べたとき、経験したことのない鮮度を感じました。ドレッシングもいらない、そのまま食べておいしい。食べた後に驚きがあるのが魅力です。山田 技術開発の過程でおもしろかったのは、生産性を上げようとすると、おいしさも一緒に上がってきたことです。普通は生産効率を上げようとすると品質が下がったりするんですが、植物本来のポテンシャルを引き出すことがおいしさにつながることに気づいたときはうれしかったですね。 それは今後の取り組みを考える上で実はすごく大事なポイントで、例えば環境に良いけれどおいしくないとか、そういうトレードオフの関係だと商品としても取り組みとしても魅力にも欠けますよね。山本 おっしゃるとおりですね。植物工場のレタスは「グリーングロワーズ」(=自みどり然を栽培する人)という独自ブランドで展開していますが、そこにはサステナブル(持続可能)、健康、安全安心、環境などと向き合う私たちの企業メッセージが込められています。 今後、このブランド野菜の品種を増やしていくのはもちろんですが、サンドウィッチやスムージー、あるいはミールキットへの展開などさまざまな形で、健康や環境に関心の高いお客さまにアピールしていくことになると思います。山田 栽培装置内の環境をつくるパラメータの組み合わせのことを私たちは「栽培レシピ」と呼んでいます。来年完成する研究所で、より付加価値の高い作物をつくれる栽培レシピを開発していきます。開発したレシピは新しい商品として量産できるようになります。研究所が立ち上がり研究が進むことで、「グリーングロワーズ」の商品ラインナップもかなり充実し、お客さまに喜んでいただけると思います。植物工場とサステナビリティ山本 カスミは20年前から子どもたちの食育に取り組んできたんですが、それは食の背景にある環境や自然の大切さを認識した大人に成長してほしいからなんです。 例えば、地球規模で水資源の不足が叫ばれていますが、畑にまく水はすべてが野菜に吸収されるわけではなく、実は大部分が蒸発してしまいます。 一方、我々の植物工場では環境を緻密に管理することでほとんど無駄を出さずに水資源を利用できますから環境に配慮した持続可能な生産と言えます。8植物工場は食料問題解決のキーテクノロジー新しい農業のカタチとなる (山田)2007年に東京大学大学院卒業後、ものづくりの生産工程改革で有名な㈱インクスに勤務。その後、日米6社のベンチャー創業に参加。2013年末に、人工光型植物工場と出会い、世界の食と農に革新をもたらす技術だと確信し、創業を決意。エンジニアリングの分野で卓越した実績・スキルを持つ4人のメンバーと共に、新しい産業を興すことを目指して2014年6月に㈱プランテックスを創業。山田 耕資(やまだ・こうすけ)パッケージには「12リットルの節水ができる」ことがうたわれている

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