平和への願いと昭和の面影友部は交通の要衝として発展しました。JR常磐線と水戸線が乗り入れる友部駅周辺は商店街や住宅地が広がり、常磐自動車道と北関東自動車道が交差する友部ジャンクションに近い友部サービスエリアは上下線それぞれに異なるコンセプトで茨城のドライブ旅を楽しませてくれます。訪れたのは友部インター近くの筑波海軍航空隊記念館。太平洋戦争で海軍が戦闘機の操縦訓練を行った場所で、司令部庁舎、号令台、滑走路などの戦争遺跡が当時の面影を色濃く残したまま保存されています。映画『永遠の0』の撮影にも使われた館内では、戦争の歴史を後世に語り継ぐために、元隊員やご遺族から収集した資料が展示されています。印象的だったのは、神風特別攻撃隊に参加した23歳の少尉と女学生の話。「終戦間際、女学生の元に手紙が届きました。彼女は兵隊さんを励ます為にという理由で、学校に勧められ、一人の海兵と文通をしていました。(中略)女学生と海兵の手紙のやりとりは200通にも及びました。その日女学生に届いた封筒は厚く、中には手紙と二つのペンダントが入っていました。それは少尉から女学生に届いた最後の手紙となりました」(展示資料より)手紙と共に入っていたのは、自分が搭乗する零戦をかたどった飛行機と、二人のイニシャルが彫られたペンダント。材料はコックピットのガラスという記述に胸が詰まりました。戦後78年を経て歴史の記憶が失われつつある中、物言わぬ戦跡と向き合い、命や平和の尊さを思うひとときでした。記念館を出て友部駅へ。ホームから聞こえてきた発車メロディは、昭和を代表する歌手・坂本九さんの『上を向いて歩こう』。戦時中、笠間市に疎開していたことにちなんでだそうです。お土産に買ったのは納豆入りのホットドッグ。友部サービスエリア下り線だけで出会える、想定外のおいしさでした。そんな友部で、カスミはフードスクエアカスミ友部旭町店とフードスクエアカスミ友部店の2店舗を営業しています。(茨城県笠間市)ともべ13絵=古山 浩一
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