農業は暮らしと産業のベース人々に笑顔と喜びをもたらす仕事。ブランディング認められ、磨かれることで生産者は安心して農業を続けられる。えられます。そうなれば、きっと後継者もできると8思います。川島 5〜10年といった単位で経営が考えられるのは、農家にとってとてもありがたいですね。山本 おいしいのに、消えてしまう野菜ってありますよね。伝統野菜のように。理由は生産者が長期的な展望を持てないからだと思うんです。契約栽培で安定成長が見込めれば、きっと栽培を継続するはずです。川島 「福王しい茸」も伝統野菜のようなところがあって、工場でつくる椎茸とは違って通年出荷は難しいんです。その代わり、味が良い肉厚の椎茸をつくる技術がある。計画的な栽培と出荷が約束されるのは、生産者としてすごくうれしい話ですね。山本 農産物も二極化が強まっています。少しでも安い方が良いという向きと、味や鮮度にこだわる向き。お二人が素晴らしいのは、すでに商品のブランディングができている点です。栗原農園さんの「割烹こねぎ」、田村きのこ園さんの「福王しい茸」、どちらのブランドもお客さまからの信頼が厚い。心掛けていることはありますか?栗原 お客さまに食べてもらって、味の評価を直接してもらうことを大切にしてきました。東日本大震災後は地域のイベントに出店し、さまをやりながら経営を安定させるのは想像以上にハードルが高い。山本 後継者問題は、まさに日本の農業の共通課題です。 その解決を農家だけでなく、我々のような小売も一緒になって考えていくことが重要です。栗原 術と、小売の組織力や販売力のコラボで面白い協業ができたらいいですよね。山本 ざまな可能性があると思うんです。レに対しては、もっとデジタルやAIを活用してもいいですよね。ハウス内のカメラでリアルタイムの生育情報を共有することで、より計画的な出荷と販売が実現できれば、経営の安定にもつながると思います。ライセンスビジネスを展開することも考えられます。農業はノウハウの塊ですから、知識産業に変わる可能性は高い。実際、我々の植物工場も生育プログラムを購入して栽培しています。勘を定量化して再現お二人がおっしゃるように、生産性、収益性、私たちの強みは生産ですから、農家の栽培技持続可能な農業という点で考えると、さまたとえば、気候変動による収穫期と販売計画のズまた将来は、農家が企業に栽培ノウハウを提供し、山本 製造小売という視点に立つと、物の見方が全く変わります。たとえば、イチゴは粒が揃っていた方が良い、というのは小売の視点。製造小売から見ると、規格外のイチゴも買い取ってジェラートを製造しよう、という発想になります。商品を生かせる技術があるかないかで価値が変わるのです。カスミは製造小売を目指していますから、これからは自分たちがリスクを取って規格外も含めた全量買取を目指そうと考えています。栗原 すごく農業に歩み寄ってもらっていると感じます。そうなれば生産者の意欲や責任感も変わっていくと思います。山本 取引形態も変わっていくでしょう。従来の売り買いだけの関係性が、今後はビジネスのパートナーシップへ。生産計画に基づいた価格交渉はもちろん、5〜10年という中長期的スパンの設備投資や人材育成など、農家の経営計画に配慮した契約形態も考性を高めれば、農業は若い人たちがもっと参入しやすい分野になれる。就業機会が増えれば地域も元気になるはずです。持続的な生産のために重要なことは、地域の農家さんの安定成長です。それは、お客さまの食生活の安定にもつながる。カスミが「地域商品青果」という専属部署をつくって、地域の生産者を応援する理由もそこにあります。 川島 拓さん(かわしま ひらく)茨城県小美玉市出身。筑波大学で農業経済学を専攻。農家でのアルバイト経験をきっかけに農業を志す。卒業後、農業経営を学ぶために日本政策金融公庫へ。赴任先の北海道で農業融資を2年間担当した後、新規就農を目指して茨城に戻ったが、補助金が受けられず断念。2019年から笠間市の「地域おこし協力隊」の活動で訪問した田村きのこ園で出会ったジャンボ椎茸に感動し弟子入りを決意。2022年、「福王しい茸を後世に残したい」と第三者継承。28歳。栗原 玄樹さん(くりはら げんき)茨城県常陸太田市出身。「おいしく楽しく 野菜とお米で 笑顔に」をモットーとする栗 原農園(従業員数約30名)社長。一度は料理人を志したが、20歳で家業を継ぐことを決め、29歳で2代目社長に。水耕栽培の小ネギ、サラダ用野菜、米などの栽培のほかネギキムチの加工品製造も手がける。30km圏内を商圏に商品の9割以上を自社配送。圧倒的な鮮度が強み。36歳。
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