chable36
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豊かな海に囲まれた日本こだわりのタコぼりょう海に囲まれた島国、日本。親潮と黒潮がぶつかり合う海域は水産物に恵まれ、日本人は昔から多様な魚料理に親しんできた。ところが、1人当たりの魚介類の年間消費量は2001年度をピークに減り続け、2011年度には肉類と逆転(農水省調べ)。その一因として、おいしさや健康効果の一方で、魚介類は「調理や後片付けが面倒」「家族が肉類を求める」など消費者の食の志向の変化がうかがえる。こうした中、水産加工業や小売業は「おいしい魚をもっと手軽に食べたい」という消費者ニーズに応えるため、おいしさと品質にこだわり、安全・安心な商品を届け続けている。1883年(明治16年)創業。株式会社津久勝は、150年近い歴史をもつ老舗の水産加工会社だ。「銚子港で水揚げされた魚を、初代が天秤棒を担いで売り歩いたのが始まりです」そう話すのは、同社の津久浦裕之社長。1993年にタコ加工工場を開設、2007年に食品加工工場を拡大し、本格的に水産加工事業に参入。現在は主に、蒸し蛸やサバ・イワシの煮魚を自社工場で製造し、スーパーマーケットなどに卸している。年間約2千トンの蒸し蛸を製造する同社が、最もこだわるのが原料のタコ。産地はモーリタニア産(アフリカ)をメインに、国産(鹿島・銚子・三陸・明石・北海道)も扱っている。中でもモーリタニア産に関しては、「壺つ漁」と呼ばれる独特の漁法で水揚げされる壺蛸原料を100%使用することに長年こだわっている。壺漁とは、自分の縄張りの穴ぐらを住処とするタコの習性を生かした日本古来の漁法。1つの壺に1匹しか入れず、生きたまま水揚げできるので鮮度も抜群だ。「鮮度とおいしさを最優先にするには、やはり壺漁のタコが一番です。底引きのタコとは比べものにならないほど元気で強いタコが獲れますよ」水揚げされたタコは生きたまま産地の工場へ。その場で締めて素早く冷凍するため、一年を通して鮮度の良いタコを安定供給できる。底引きのように根こそぎ獲らず、1回の漁で使う壺数を制限することで乱獲を防ぐ壺漁。こだわりの視線は、おいしさや品質だけでなく、資源と共生する持続可能な漁法にも向けられている。株式会社津久勝(茨城県神栖市)は1883年創業の水産加工の老舗。壺漁の蒸し蛸、サバ、イワシの煮魚を自社工場で製造する。銚子港おいしさと品質にこだわり、安全・安心な商品を毎日の食卓に届けるために水産加工業や小売業は、つねに熟練の技を磨き最新技術に挑戦しています。            2水産を熱くする担い手たち

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