食卓を想像してつくる調理不要の「家庭の味」「うまい!」を全国から産地バイヤーの挑戦蒸し蛸とともに株式会社津久勝のもう一つの主力商品が、「骨まで食べられるやわらかい煮魚」。自社工場から近い銚子港(千葉県)と波崎港(茨城県)で水揚げされたサバやイワシを新鮮なうちに工場に運び、熟練の技術者が丁寧に下処理をすることで青魚特有の苦みや臭みを抑え、高温スチームでふっくら炊き上げる。これが「骨まで食べられるやわらかい煮魚」の秘密だ。人気があるのは「真いわしとろ炊き」と「さば味噌煮」。脂がのったイワシやサバを独自ノウハウの「飽和蒸気調理」で加工。醤油やみりんなどの調味料を合わせた煮汁と高圧で調理することで煮崩れが少なく、身が箸でほぐれるほどの柔らかさを実現している。味つけはごはんに合う「家庭の味」が特長。濃厚だけどさっぱりしていて、ついついおかわりが欲しくなる。小骨や中骨も気にせず丸ごと食べられるため、カルシウムもしっかり補給。湯せんか電子レンジで温めれば調理不要で、子どもからお年寄りまで安心して食べられるのもうれしい。封を開ければ、すぐに食べられる即食の商品づくり。その背景には「おいしい魚をもっと手軽に食べたい」という食卓の声を想像し、試行錯誤を繰り返す生産者の皆さんの地道な努力がある。カスミには、全国の産地に出向いて商品開拓を行う「産地バイヤー」が存在する。産地の生産者と直接つながることで、商品の背景にある思いや物語をお客さまに伝え販売促進に活かすのが目的だ。現在は鮮魚部を中心に北海道、千葉、石川、長崎、鹿児島などにバイヤーが出向き、仕入れルートの開拓を行っている。九州や北海道で商品開拓を推進する石塚健さんもその一人。「産地と店舗を週ごとに往復する中で、生産者の思いを知りたがっているお客さまの多いことに気づきました。産地で得た情報をお店を通じてお客さまに発信できれば、新たな価値づくりにつながると思います」取り組みから新たな仕入れ形態も生まれた。関東周辺では入手しにくい魚種を少量ずつ詰め合わせる「九州のお魚セット」。珍しい商品をより多くの店舗で提供できるようになった。「産地に出向くことで生産者さんのこだわりや思いを実感しました」と話すのは大森章弘さん。鹿児島県での開拓中に「九州のお魚セット」を仕掛けた。モノ(商品)だけでなく、コト(知る体験)を伝えることの大切さを強調する。「うまいもの」を全国から食卓に届けるカスミの産地バイヤー。今後は、瀬戸内や山陰地方など新たな産地開拓と情報発信の取り組みを拡大していく予定だ。「骨まで食べられる やわらかい煮魚」(株式会社津久勝)臭みもなく子どもも食べやすい、湯せんか電子レンジで温めてから開封し食器に盛りつけるだけ❶鹿児島県などで商品開拓を行う大森章弘さん❷オナガダイ、トビウオ、キビナゴ、ツキヒガイなどが入った「九州のお魚セット」❸九州や北海道などで商品開拓の拡大を推進する石塚健さん水産を熱くする担い手たち ❷❸❶4
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