chable36
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題を知恵や技術を駆使して解決し、お客さまに新しい価値を提供するのが我々の使命ですよね。思いや地道な挑戦を、お客さまに分かりやすく伝えていく努力も小売業には求められていると思います。と、ここ30年で共働き世帯が増えたこともあり、「食べたいけどつくるのが面倒」とか「魚料理は後片づけが大変」という理由で、魚料理が食卓で敬遠される傾向がありました。おいしさ」が求められるようになったのは、魚ばかりではありません。しかし一方では健康志向から魚介系の缶詰、冷凍食品、レトルト食品などが求められる。そういうニーズにさまざまな技術と商品開発で応えていく、という自負が我々にはあると津久浦 塚田 同時に、そうした商品の背景にある生産者のお客さまの変化という点に目を向けるライフスタイルの多様化で「手軽な思うんです。当社がこだわっているのは、前浜(目の前の海)で揚がるイワシやサバを使った煮魚です。こういう青魚は調理するのが大変なんです。匂いや苦味、イワシは小骨が多いから子どもが食べない。そこで考えたのが真空調理器です。これで骨まで食べられるやわらかい煮魚に仕上げ、真空パックに入れて温めれば調理不要ですぐに食べられる商品を開発しました。おかげさまで発売からさだけでなく、流通もしやすくなるということで、流通段階の食品ロスも減らすことができる。さまざまな面から課題解決に貢献できます。およそ3割を廃棄する※2未利用魚の有効活用なども含め、工夫次第でチャンスはまだまだあると津久浦 塚田 「手軽なおいしさ」というのは、食べやす思います。素材を活かす製造のこだわりは何ですか?冷凍原料(炊き上げる前のタコ)の下処理です。解凍したタコの頭の内側にあるスミ、それから内臓やぬめりを丁寧に取り除きます。もちろん機械も使いますが、最終的には人による目視だけでなく、1日1万尾、1尾ずつ全部ひっくり返して匂いを嗅いで状態を点検します。手間のかかる作業ですが、これをしっかりやらないと旨みや歯応えといった仕上がりに影響するんです。効率より質を重視する社風は、どのようにして育ったのですか?「商いは牛のよだれの如く」という企業理念に凝縮されています。「利を急がず」というのが創業者の教えで、商売は一気に儲けようとせず薄利でも長く続けた方がよい、という心構えが社員に浸透しています。 常に心掛けているのは、お客さまの声を大事にするという姿勢です。それは日常の小さなつぶやきかもしれませんが、小さな気づきの中にこそ我々が社会に役立つヒントがあると思います。スーパーマーケットはもっと変わらなければなりません。従来のようにお店を開ければお客さまにご来店いただける、発注すればメーカーさんから商品が届くのが当たり前、という時代ではありません。これからは、我々の方からアプローチしてお客さまに価値をお届けする。そして、地域の生産者やメーカーさんと一緒になって価値をつくっていく時代です。特に我々のようなスーパーマーケットは、競争するうえで生鮮商品は大きな武器で塚田 津久浦 塚田 津久浦 塚田 おっしゃる通りです。その点でいうと、我々商品づくりを支える企業理念円安をきっかけに国産が見直されれば日本の水産業には伸びしろがある    815年のロングセラー商品に育ちました。(※2)魚体サイズが不揃いだったり、水揚げ量が少ないなどの理由で流通しない魚。   世界の漁獲量全体の30〜35%が該当する。株式会社津久勝の「骨まで食べられる煮魚」津久浦 裕之さん(つくうら ひろゆき)1955年茨城県生まれ。株式会社ニチレイ入社。76年4月株式会社津久勝入社、2005年11月代表取締役社長就任。圧縮調理方式で骨まで軟らかく食するをテーマに製品開発、地場漁獲物の市場、消費拡大を目指す。

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