chable36
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す。そこに力を注がないスーパーマーケットは社会でも地域でも「役立たず」になっていく、と思っています。深く知り、商品について語れる存在になる必要がある。例えば、「朝炊き蒸し蛸」という新商品のこだわりや誕生の背景を知ったら、誰かに語りたくなるはずです。そういう体験を、一つずつ増やし、伝え続けていくことが大事だと思っています。りで商品を選ぶわけではないと思います。「おいしかったから次もあのタコを買いたい」と思ってもらうには、やはり商品への信用が大事。それには品質が最優先です。品を販売していくのが我々小売業です。信用を共有するということは、その商品に自分の実印を押して売ることと同じ。量より質の時代。そ津久浦 塚田 それには我々のような小売業が商品をもっと物価高とはいえ、お客さまは値段ばか生産者の皆さんが思いを込めてつくった商れくらいの気構えを小売業が持つことが、「共存」していくということだと思っています。たしかに今、温暖化や為替の問題で水産業界は苦しいですが、ここで諦めてしまえば成長はできません。私、根がしつこいタイプなので、これからも試行錯誤を続けながら新しいことに挑戦していきますよ。(笑)日本の水産業は衰退産業なんていう人がいますが、私は悲観していません。たしかに担い手の高齢化や円安による輸入価格の高騰はありますが、外国人の若者が一生懸命働いてくれているし、この為替問題で国産の水産物が見直されるきっかけになれば、日本の水産業にはまだまだ成長の伸びしろがあると思いますよ。同感です。そのために我々小売業がすべきことは、例えば刺身用に入荷した魚を臨機応変に店内加工して魚惣菜としてご提供するなど、お客さま視点に立ち部門縦割りの仕組みやルールを変えること。 もう一つは、それに見合う技術と人材の育成津久浦 津久浦 塚田   9 関東ではあまり流通しません。その理由は、そもそも八角を知らないというだけでなく、卸す技術をもった人材がスーパーマーケットで育っていないからです。これはもったいない。日本は未利用魚の3割を廃棄しながら、魚の消費量の約半分を輸入に頼っています。国内で獲れた魚をおいしく無駄なく食べて使い切ることは、食品ロスを減らすだけでなく、持続可能な水産業にもつながると思います。カスミさんから我々水産業への期待があったら言ってください。いやいや(笑)、むしろ水産業からもっともっと期待されるカスミにならないと!津久浦 塚田 (茨城県神栖市の株式会社津久勝様にて2024年5 月2日収録)持続可能な水産業のために獲れた魚を無駄なく使い切ることは「持続可能な水産業」につながるれがる必八は要っく角かでとすい。う例おえいばしい春白先身にの北魚海が道あでる水ん揚でげすさが、その日の朝、株式会社津久勝で炊き上げ午後にはカスミの売り場に並ぶ「朝炊き蒸し蛸」(刺身用)塚田 英明(つかだ ひであき)1964年茨城県生まれ。86年4月、株式会社カスミ入社。2020年5月常務取締役上席執行役員。22年5月専務取締役。24年3月代表取締役社長。

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