塚田 大久保 間に1千種類以上が発売されるのではないでしょうか。我々メーカーでさえ把握しきれません。(笑)塚田 のできない「ものづくり」を目指すきっかけは何だったのですか?大久保 は自社製品に誇りが持てませんでした。競合他社の後追い商品が多く、総力戦で挑んでも大手にかなうわけがありませんから。それなら一度、徹底的に麺にこだわってみようじゃないかと。塚田 ね。商品開発には苦労も多かったでしょうね。大久保 きに街のラーメン専門店で食べるような「ゆでたて」の旨さを再現したかったので。塚田 できるのですか?3 一般にカップ麺のそこに独自の技術それが大変むカップ麺市場は激戦ですね。新商品が毎月のように出ては消え、1年その中で「凄すごん麺め」の存在感は特別です。真似家業を継ぐ決意で入社しましたが、当初それで誕生したのが「凄麺」というわけです簡単ではありませんでした。一口食べたとどうすればカップ麺でラーメン店の味を再現大久保 麺は生麺を蒸してから油で揚げるフライ麺と、揚げずに熱風で乾燥させるノンフライ麺の2種類があります。どちらも即食性と保存性という点で優れた技術ですが、我々は街のラーメン専門店と同じように、麺をお湯でしっかりゆでることで「ゆでたて」の食感を再現したかったのです。塚田 があるのですね。大久保 ずかしかった。(笑)開発までに10年以上かかりました。初めは研究室で1個つくってみる。次に100個できたら、1千個できないだろうか、1万個できないだろうかと…。品質を均一に保つためにテストプラントをつくっては壊し、つくっては壊し、試行錯誤の連続でした。誰もやったことのない技術、誰も真似のできない商品だからこそ、成し遂げる価値があると思います。塚田 オーナーシップとしての思いの強さですね。麺に対するこだわりだけでなく、スープや具材との組み合わせのこだわりもすごい!開発段階の課題は相当あったでしょうね。大久保 そうですね。でも出会いが大きかったと思います。長く続けていると、さまざまな方からアドバイスをいただいたり、特許文献などを読み漁るうちに、少しずつ課題の的が絞られてくる。製麺業界だけでなく、食品業界全般、大学や研究機関の方からいただいた知恵やヒントをアレンジしてきました。そもそも自分たちの力や経験など高が知れています。何かを成し遂げようとすると、人と人の力が合わさって実を結ぶことを改めて実感しました。塚田 全国のご当地カップ麺を展開しているのも「凄麺」の魅力です。それぞれに麺もスープも具材も変えて、地域色豊かな味わいに、一品一品へのこだわりを感じます。大久保 約30種類のラインナップです。一品一品にこだわれば手間も時間もかかりますが、一時の数量を追うのではなく、良い商品を長く販売してファンを増やしていくことが我々の商売です。塚田 ご当地カップ麺を開発するうえで特に大切にしていることはありますか?大久保 地元の皆さんと一緒に商品づくりを進めることです。たとえば、「愛媛八やわ幡たは浜まちゃんぽん」は弊社に届いた1通のメールから始まりました。送り主は、愛媛県の八幡浜市役所。「八幡浜ちゃんぽんの魅力を愛媛県外の方にも知ってほしい」「八幡浜ちゃんぽんを一緒に凄麺で再現したい」。メールには、そんな熱い想いが込められていました。商品化に向けてさっそく社内会議を開きましたが、「八幡浜ちゃんぽん」を知っている社員はゼロ。「ちゃんぽんなら長崎でしょ?」「そもそも、八幡浜ってどこ?」といった状態からのスタートでした。その後、市長さんをはじめ地元の皆さんとやりとりを重ね、当初の試作品に対しては厳しいご意見もいただきながら、やっと商品化にこぎつけました。地元と一緒に食文化を盛り上げていきたい、という想いが詰まった一杯です。塚田 流行りのB級グルメや町おこしとは、明らかに違いますね。先に伝えたい想いがあって、それを形にする情熱と技術が伝わってきます。大久保 販売のためにご当地の名前を利用するのではなく、我々は地域の皆さんに商品を認めていただくことが基本だと思っています。塚田 地域との協業で、特に心掛けていることは何ですか?大久保 地元の飲食業はもちろん、スーパーマーケットや問屋さん、観光業や自治体の皆さんとも話し合い、地域資源を活用しながら商品を磨いていくことが我々のマーケティングです。そして、商品はリニューアルを繰り返します。多い商品だと14、15回。その過程で地元の皆さんの声を取り入れ、絶えず共感を得られるよう工夫し独自路線地域との協業ゆでたての旨さを再現! まるでお店のラーメンのような本格的な味を追求したノンフライのカップ麺「凄麺」(すごめん)革新的なノンフライ独自製法(ヤマダイ特許製法)によりお湯を注いで数分後にはラーメン専門店の味に(上)「蒸し」ではなく「ゆで」を行うことで生麺のような「独特のツルみ」を出すことに成功(下)
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