Chable_38
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地域に根ざすファンづくりが新しい価値の創出につながるています。たとえば、フタの裏で地元の皆さんの声や開発担当者の想いをご紹介したり…。品質だけでなく、ちょっとした伝え方の工夫も大事にしています。そうすることで売れ行きが改善し、ロングセラーになった商品もあります。塚田 くってほしい」という声が殺到していると聞きました。た買いたい」と、お客さまに思っていただける商品の魅力と言ってもいいと思います。スーパーマーケットの仕事は販売ですから、商品の魅力をお客さまに伝えるうえで、ものづくりの背景にあるストーリーの深さを学ぶことは非常に大事。ヤマダイさんの商品づくりには本当に学びが多いと感じています。大久保 凄麺を買ってくださるお客さまは、ご当地ラーメンを知っている人ばかりではないのです。むしろ知らない人の方が多く、「こんなのあるんだ!」と手にとって食べてくださり、「おいしいね!」という発見と驚きでファンになってくださるようです。凄麺でその地域を知った方が「行ってみたい」と、実際に訪ねてくださる。そんな地元とのつながりが生まれたら素晴らしいと思います。他方、地元の皆さんからも大変感謝いただけて全国のご当地から「うちの町のラーメンもつ大久保 全国にはさまざまな食文化があって、そういう資源を活用していくと魅力的な商品はたくさんつくれると思います。良い商品をつくるには良い原材料、4     良いビジネスパートナーが必要です。そのためにも、まずは地元と良い関係を構築することを、特に大切にしています。塚田 良い商品には、商品自体がストーリーを語る力があります。それは「買ってみたい」「買ってよかった」「まいます。自治体はもちろん、地域のスーパーマーケットでもファンが多く、気がつくと商品の種類も増えて…。(笑)塚田 商品を提供するだけでなく、ブランドに対して特別な愛着を持つファンづくりを重視しているということですね。大久保 効率や生産性を考えれば、商品を絞るという選択もありますが、「凄麺」ファンが増えれば中長期的には売り上げを拡大できます。何より商品の種類が増えると課題解決の経験値が増すので、技術力が飛躍的に向上します。大久保 今、一番注力しているのは社内のファンづくりです。社員が自社商品に愛着や誇りを持つかどうかは働きがいにつながります。塚田 自分が携わった商品やサービスがほめられ、役立っていると感じるのは誰だってうれしい。家族や知人にも自慢したくなるはずです。大久保 父から経営を引き継いだとき、私は初めに経営理念を変えました。「真摯な姿勢で取り組み、価値を創造し、社会に貢献していく」という、自分たちが目指すべき姿を全社員で共有したいという想いが強かったのです。以来、朝礼など日々共有する機会を欠かさずにつくっています。塚田 何のために仕事をするのか、目的や目標を共有する集団がビジョンを達成できると思います。企業活動を価値創造の流れと捉える「バリューチェーン」という考え方がありますが、価値ある商品は、販売する側も一生懸命に売りたいという気持ちになるものです。価値に込められた想いがきちんと伝わっていくのがバリューチェーンだとすれば、つくり手の想いをお客さまに伝えることもスーパーマーケットの大切な使命です。大久保 新しい価値を創り出すには、社員が面白がって参加できる仕掛けも必要だと思うのです。た価値を創造する集団づくり「フタの裏ばなし」と題しパッケージ裏面には地元関係者や開発担当者のエピソードが紹介されている全国のご当地カップ麺のパッケージ写真は「商品の魅力がお客さまにたっぷり伝わる1枚」を目指し、開発担当者が自ら撮影する社長試食、「カップラーメンとして」ではなく「一杯のラーメンとしておいしいか」を基準に厳しくジャッジする大久保 慶一さん(おおくぼ けいいち)1956年茨城県生まれ。80年大学経済学部卒業後、総合商社入社。83年ヤマダイ株式会社入社。85年常務取締役。92年代表取締役副社長。99年代表取締役社長就任。2001年「凄麺」ブランド第一弾発売。

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