Chable_38
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良い商品には商品自体にストーリーを語る力がある仕事を面白がるという姿勢は、とても重要単にモノの売り買いだけでなく、価値を高共有し、一人ひとりが自覚している企業は力の総和を大きく発揮しやすいでしょうね。単に「おいしいものをつくります!変化に対応していきます!」というだけでは生き残れません。新しい価値を創り出すうえで、ビジネスのあるべき姿をいかにデザインしていけるか、というカンパニーデザインが企業に問われる時代だと思います。塚田 本当ですね。カスミには企業理念や経営理念とは別に、「価値観」という理念を実践するための指針があります。目の前で困っているお客さまがいたら、そばにいるカスミの誰かが寄り添い解決策を導く。高校生のアルバイトも店長も、お客さまや地域のために考え行動する。そういう企業なら働く人にとっても、やりがいがあるはずですよね。大久保 それからもう一つ。茨城をもっと盛り上げていきたいですね。(笑)塚田 そこが元気の源ですからね。今日はありがとうございました。(2025年6月5日、茨城県結城郡八千代町のヤマダイ株式会社様にて収録)とえば、当社では一人ひとりが「凄麺」プロデューサーになって「最強の凄麺」を考えるなど、できるだけ多くの社員が商品づくりに参加できる場づくりをしています。単に商品をつくって終わりではなく、楽しみながらブランド価値を深掘りしたくなる企画の運営。私がやると堅苦しくなるので、若いスタッフに任せていますが。(笑)塚田 ですよね。仕事と生活、組織の内側と外側といった境界線を越え、みんなのアイデアがボーダレスに湧き出てきます。大久保 めるという点では社員、お取引先さま、お客さまも含めたファンを増やし、あらゆる人が商品づくりに関与できる仕組みづくりが大事です。その点でSNSはとても便利なツールだし、商品の魅力やブランド価値の再発見にもつながります。ブランドを数多くつくるビジネスモデルもありま5    すが、地域に根ざし一つのブランドを磨き続けることは、ビジネスを長く持続させるうえで重要だと思います。塚田 海外展開も始められましたね。大久保 麺を食べる文化は世界中にありますから、地域に根ざすビジネスで培った麺づくりとスープの組み合わせで成長の可能性はまだまだあると思っています。塚田 日本は人口減少で、食品業界もデジタル化による省力化や生産性向上など、最先端技術を活用して解決すべき課題はあります。しかし本来、食べることは生きることの根源であり、食の提供を通じて健康を守ることに我々の存在意義もあると思うのです。日本は2025年現在、人口の5人に1人が後期高齢者と推計されます。この超高齢化社会で健康を守る食生活の重要性が高まる一方、昨今の行き過ぎた安売りや、食べきれないほどの量の料理をもてはやす殺伐とした風潮が気にかかります。大久保 企業としていかに社会課題を解決していけるかが、ますます大事な時代です。「一人ひとり、みんなが会社!」。私はよく社員にそんなふうに話します。やはり全員が企業理念をカンパニーデザインカスミだけで販売している「凄拉麺」(すごらーめん)ブランド茨城県出身の二人、筑波山談義に花を咲かせながらの一杯ご当地カップ麺の開発コンセプトは地元密着、地元で長く愛される商品を目指し地元のラーメン店や自治体と一緒に商品をつくり上げていく塚田 英明(つかだ ひであき)ヤマダイ(株)ご当地カップ麺MAP1964年茨城県生まれ。86年4月株式会社カスミ入社。2020年5月常務取締役上席執 行 役 員。22年5月専 務 取 締 役。24年3月代表取締役社長就任。

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