Cha-ble_Vol17
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11ドが合致している企業がこれからは生き残っていくと思います。小濵 生活者や地域から「いいね!」と共感されることがコーポレートブランドだと私も思います。それができない企業に将来はない。小濵 私は2000年からカスミの経営に携わっていますが、最初に「100年続く会社にする」と宣言したんです。それがカスミにおける私のミッション。岩田 驚きました。私はスターバックスの社長になったときに、「100年後も光り輝くブランドにしたい」と自分のビジョンを掲げました。まったく同じですね。目先のことだけにとらわれず、将来の世代にきちんとバトンタッチできる会社にすると宣言したんです。小濵 そういう長期的な視野で経営をやってみて、私は地域社会との関わりが一番大事だと気づきました。だから地産地消や食育など今だけでなく将来の世代を見据えた取り組みも大切にしています。将来を担う若い世代に何かアドバイスはありますか?岩田 企業説明などでよく学生の皆さんにお話しするのは、企業研究の前に自分研究をしなさいということ。会社に合わせるのではなく、自分に合った会社を選んだ方が絶対に幸せになります。それをやらないから3年で辞めてしまう。 企業にとってミッションは大事ですが、自分自身のミッションを持つことも大事です。自分がこの世に生かされている理由—使命は何か、答えを出すのは難しいけれど、ヒントは好きなこと、得意なこと、人のためになること。その3つの輪の真ん中にミッションがあると私は思っています。 すぐには見つからないし、見つかっても変わってしまうこともある。それでもいいんです。大切なことはつねに自分のミッションを意識すること。どんな働き方をするかより何のために働くかを深く考えると問題意識も芽生えてくるんです。小濵 若い頃は私も使命なんて考えたこともなかった。でも社会に出てさまざまな出会いの中で、こういうことをすると周囲の人は喜んでくれるのかと気づかされることがあった。大切なのはそういう体験をどれだけできるか。そのための場づくりも企業の役割だと思っています。岩田 私のミッションは日本に素晴らしいリーダーをもっと増やすことです。そのために本を書いたり講演をしたりして、できるだけ分かりやすい言葉でミッションの大切さを伝えていきたいと思っています。先日、高校生からお便りをもらいました。野球部のキャプテンになって悩んでいたけど本を読んですごく元気になりましたって。とてもうれしくて自分のミッションが少しかなえられたかな、火花が散ったかなと(笑)。小濵 私は従業員が働くことに誇りや幸せを感じられるスーパーマーケットを実現したい。そして商人の社会的地位を上げたい。「ソーシャルシフトの経営」はそのための問題提起。これから5年、10年と時間をかけてミッションの火花を散らしていくつもりです。(笑)(3月31日、カスミつくばセンターにて収録) 何のために働くか小濵 裕正(こはま・ひろまさ)株式会社カスミ代表取締役会長。1965年神戸商科大学(現・兵庫県立大学)商経学部卒業後、株式会社主婦の店ダイエー入社。マルエツ副社長、ダイエー専務取締役などを経て、2000年カスミ入社。2002年3月より2010年2月までカスミ社長を務め、同3月より会長職。働くことに誇りや幸せを感じられるスーパーマーケットをつくることが私のミッション。(小濵)

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